<Serialization>
Renshi "Book as Object"
Poem, TOKYO
May 25, 2023
Book as Object 3
by crossing lines renshi group
note
〈I am in You〉by Yuki Tawada, 2023 : Installation view ‘’The ship who sang’’ by Yuki Tawada at Kurenboh
Book as Object 3
crossing lines 連詩
三巡目
流鶯のタップに中指が透けていた
風のように 独り身の機械のように
脳から耀いくだる夏銀河を捲り
VOCALOIDの初音に 骨でふれて
自動のドローンを掻い潜って
羽たちは触れる側から始めの緑を溢させる
還元と置換のその先へと
星が星である、という逃れがたい事実をいま、どうやって現そう
ねぇねぇ、この星って崩壊するときことばになるらしいよ
え?マジ?このドローンで撮ったら見えるかな?
まぁ、噂だけどね、とドローンで撮影された映像が
誰も見ないタイムラインで永遠にリピートされている
「おしまい」と本は閉じられまどろみのなか
石には石の 骨には骨の
生まれては消えてゆくはずだったそれぞれの言葉も たわいない嘘も
不死の屑星となって囁きはやまない
言語の礫に拾った一冊は白紙のままだった
それは文字を拒否する空白で
しかし指でなぞるとなぜだか熱を感じた
わたしはそれを辿ろうと声に出して読んでみた
注
本作品は二〇二三年五月二十日に開催された「文学フリマ東京36」参加記念に巻かれた、五人の詩人による連詩である。各連毎に、石田、橘、田上、草間、二宮の順で綴られた四行詩により構成されている。
写真:〈I am in You〉by Yuki Tawada, 2023 : Installation view ‘’The ship who sang’’ by Yuki Tawada at Kurenboh
crossing lines renshi group
Works of crossing lines renshi group
石田瑞穂
最新長篇詩集に『流雪孤詩』。国際ポエトリーサイト「Crossing Lines」プランナー。
橘麻巳子
『声霊』(七月堂)、近刊に『リベオートラ』(書肆子午線)、詩誌「NININ」。
草間小鳥子
ひとりで詩や短編小説を書いたり、数人で映像・音楽作品をつくり、詩や物語を拡張する活動をしています。
田上友也
詩と小説を書きます。PEDES編集部。趣味は古着とAV。嫌いなことは指図されること。
二宮豊
詩人。PEDES編集部。国際ポエトリーサイト「Crossing Lines」コーディネーター。
多和田有希
自ら撮影した写真を消す(削る、燃やすなど)という行為を通し、都市や群衆の集合的無意識や個の意識変容をイメージとして湧出させる。近年の主な展覧会に「歌う船」(2023年・観照空蓮房)「見るは触れる日本の新進作家vol.19」(2022年・東京都写真美術館)、「第12回恵比寿映像祭 時間を想像する」(2020年・東京都写真美術館)、「写真都市展—ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たちー」(2018年・21_21 DESIGN SIGHT)など。(WEB https://www.yukitawada.com/)