<Serialization>

Renshi "Book as Object"

Poem, TOKYO

May 11, 2023

Book as Object 1

by crossing lines renshi group

note

〈I am in You〉by Yuki Tawada, 2023 : Installation view ‘’The ship who sang’’ by Yuki Tawada at Kurenboh 

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Book as Object 1

crossing lines 連詩

  一巡目

四隅に稲光 という開闢
詩篇形と四辺形の透き魔に
弧を張る緑したたる未解決
ポオたちの捜査はいつ始まる?



ひびの間から大ガラスの声
既存の機能を手放した羽は割れ
重なる像を区分しないという選択が
現代の崩壊まで糸口を取り囲んでいる



「さて、崩壊してしまったので」という理由で
セックスをした神みたいな人と人みたいな神が
苦労もしないで最初に産んだのは
羽を失った鳥人間による人類安楽死計画だった



そらきた原子の有効活用
負荷を下げ冬眠という奥の手もある
未必の故意からはじまる多死社会のビジネス
(楽に死ねると思うなよ)



世界をチェーンする詩者のゲーム
三本足の犬が
微生に還元されゆく荒地を掻く
化石の書がまだここに匂うから

本作品は二〇二三年五月二十日に開催された「文学フリマ東京36」参加記念に巻かれた、五人の詩人による連詩である。各連毎に、石田、橘、田上、草間、二宮の順で綴られた四行詩により構成されている。
写真:〈I am in You〉by Yuki Tawada, 2023 : Installation view ‘’The ship who sang’’ by Yuki Tawada at Kurenboh 

crossing lines renshi group

crossing lines renshi group

 

石田瑞穂
最新長篇詩集に『流雪孤詩』。国際ポエトリーサイト「Crossing Lines」プランナー。


橘麻巳子
『声霊』(七月堂)、近刊に『リベオートラ』(書肆子午線)、詩誌「NININ」。


草間小鳥子
ひとりで詩や短編小説を書いたり、数人で映像・音楽作品をつくり、詩や物語を拡張する活動をしています。


田上友也
詩と小説を書きます。PEDES編集部。趣味は古着とAV。嫌いなことは指図されること。


二宮豊
詩人。PEDES編集部。国際ポエトリーサイト「Crossing Lines」コーディネーター。


多和田有希
自ら撮影した写真を消す(削る、燃やすなど)という行為を通し、都市や群衆の集合的無意識や個の意識変容をイメージとして湧出させる。近年の主な展覧会に「歌う船」(2023年・観照空蓮房)「見るは触れる日本の新進作家vol.19」(2022年・東京都写真美術館)、「第12回恵比寿映像祭 時間を想像する」(2020年・東京都写真美術館)、「写真都市展—ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たちー」(2018年・21_21 DESIGN SIGHT)など。(WEB https://www.yukitawada.com/)

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あの夏の砂つぶが