Poem, TOKYO

Jan 19, 2023

American Colors Ⅱ

by Akiyoshi Taniguchi









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American Colors Ⅱ

谷口昌良

 写真家になると決意し渡った先は憧れのニューヨーク。時は1979年、ベトナム戦争後の暗雲から「新しい光」を求めるアーティストらがひしめき合っていたマンハッタン。19歳になったばかりの写真少年も同様にして今までのモノクロからカラーフィルムに変えて夢を追いかけていた。

 ウィリアム・エグルストンはさりげない日常から詩情溢れる写真を撮りアメリカの原風景をそこから発見した。絵はがきになりそうな壮大な自然風景写真とは異なり、ベッドの下に落ちているペニーコインの写真作品は、アンセル・アダムスのカルフォルニアのヨセミテの風景写真よりも断然共感を覚えた。リー・フリードランダーやギャリー・ウィノグランドのストリート写真は、エドワード・ウェストンのピーマンやヌード写真よりも魅惑的だった。

 マンハッタン74丁目イーストの高級地区にポツンとあったボロアパートは、私の生活の砦であり、世界の中心でありまた、唯一の瞑想の場であった。生活のちょっとの目先にある宇宙に、25年後に寺の住職となって空蓮房という瞑想空間を作るとまで思いもせず、私は夢中になっていた。

【作品タイトル】

1, Philadelphia, 1983

2, Washington Park, Manhattan, 1983

3, My Room, Manhattan, 1983

4, Battery Park, 1983

5, West Village, Manhattan, 1983


Akiyoshi Taniguchi

Akiyoshi Taniguchi

1960年東京生まれ。浅草蔵前「長応院」住職並びに写真家。

1979年〜88年米国在住。New Yorkにて写真活動をLeo Rubinfienに師事、Los Angelesにて浄土宗別院開教使を勤める。帰国後、2006年仏教と美術を根底とした瞑想ギャラリー「空蓮房」を創設。主な著書に『写真少年』3部作、『空を掴め』(石田瑞穂共著)、『空蓮房』仏教と写真」(畠山直哉共著)などがある。東京、LAにて個展、グループ展。


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