Poem, TOKYO
Jan 30, 2026
Ash of photographs / 2021
by Akiyoshi Taniguchi

Ash of photographs / 2021
谷口昌良
ある日私の寺に若夫婦が代々の遺影の写真をお焚き上げして欲しいという申し出があった。「マンションに並べるのも怖いし。」確かに小さくしてアルバムに収めるにしても程々の大きな肖像写真はどうもそのまま捨てるには気が引ける気持ちがわかる。魂抜きの作法をして皆で手を合わせ燃やした。写真の顔はぶつぶつと醜く爛れるようにゆらゆらと悶えながら灰と化した。話は広がり昔の恋人の写真、幽霊写真、亡き子の写真、至っては写真家の失敗作品など持ってくる人々が来るようになった。写真は燃える。所詮紙だ。けれども人は一度魂が通った物に心の作用としてこだわりを持つ。メディアアーティスト、物理学者の落合陽一曰く「質量のあるものは壊れる。質量のないものは忘れる」と。実存を超えようとする仏教にはほぼ類似した考え方だ。五大に返す、無に帰す、イメージは虚界の霊像。繰り返されるのは心の無常なる呼応だ。アートと命、命と物。回帰されるべき問題点である。
注
- 写真供養は現在は休止中です。

Akiyoshi Taniguchi
1960年東京生まれ。浅草蔵前「長応院」住職並びに写真家。
1979年〜88年米国在住。New Yorkにて写真活動をLeo Rubinfienに師事、Los Angelesにて浄土宗別院開教使を勤める。帰国後、2006年仏教と美術を根底とした瞑想ギャラリー「空蓮房」を創設。主な著書に『写真少年』3部作、『空を掴め』(石田瑞穂共著)、『空蓮房』仏教と写真」(畠山直哉共著)などがある。東京、LAにて個展、グループ展。
