Poem, TOKYO
Jan 30, 2025
The Giant
by Yutaka Ninomiya
巨人
二宮 豊
星空のひとつひとつが
わたしを捉えようとする
眼球だとしよう
肩越しに感じる
視線は情報に餓え
わたしの
ちを
異邦に変換し
ばらまきたくて仕方がない
鼓膜が
さわりと
ふるえる
勝ち続けたいか
空気に薫る誘いは
いつだって巧妙だ
シナプスを走り
脳味噌に掴みかかって
発酵するその言葉に
頷きたくなる
手酌から漏れ出る水になって
わたしは初詣の排水溝に
流れてゆく
口をゆすぎ
吐き出す
ゆすぎ
吐く
神聖なるものだけを
身体に残したい
呼吸からアルコールが
霧散するよう
いのり
ゆすぎ
はく
分離したわたしは
地下の波打つ濁流を流れる
消化物が多くなればなるほど
腸は
ながくなければならない
なんかいも揉みしだかれ
いずれ
ここから排泄される
自室を開けると
そこに巨人がいた
体育座りをして
部屋にみっちりと
埋まっていた
頭は膝に潜り
隙間からこちらを見ていた
その腕に触れると
がたがたと震え始め
家全体が揺れた
わたしの等身ほど大きな
瞳のなかに
なにかの姿
呟
巨人は
霞を掻きむしり
神経質な唸りを上げた
その正体を知りたいと思い
すこし
ちかづいてみた
Yutaka Ninomiya
Poet / Coordinator of crossing lines.
詩人。crossing linesコーディネーター。