<Serialization>
Renshi "Phantom"
Poem, TOKYO
Nov 09, 2023
Phantom 2
by crossing lines renshi group Ⅱ
Phantom
crossing lines 連詩 Ⅱ
二巡目
朝霧に隠された酔いを覚ましたくなかった
だから視野を閉じ 嗅覚に頼ってみる
脛のあたりを触れては離れる獣の毛皮が
この世界と不確かなわたしを繋いでいる
浮遊するピアニシモが 霧の腕を伸ばし
壁をすり抜ける
かすかな残響が
覚めない耳の夢に
めぐる大気の高い痒み
切りひらかれるひにひそむ冷たさに
閉じた額の中庭へと 楔を打つ
土の奥行きがひるがえって
日本は二季になると聴く森
錆びんとて火の沢を急く鮎の鰭
水の秋 は夢みたく 晴れ
草色の蟷螂が じっと空を釣る
注
本作品は、各連毎に、二宮、ヤリタ、佐峰、石田の順で綴られた四行詩により構成されている。