<Serialization>

Renshi "Blue in Green"

Poem, TOKYO

Jul 05, 2024

Blue in Green 4

by crossing lines renshi group Ⅲ

 

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Blue in Green 4

crossing lines 連詩 Ⅲ

  四巡目


羅針盤はわたしたちの行く先を示す
いつだって間違ったことはなかった
書物も太陽も祈りも
花園を裏切らない だから咲くんだ
志高く学び それを誇ること
何ものにも屈せず それは強さである


すると どこからともなく だれでも
六月の頬には アメリカの種がついている
めくるめく落下はもうここにはない
まるまってお眠り 膝を魂の高さに抱いて
お休み きみの形のみえないところ
風の胃袋のなかで学びのサラダを夢見て

 
太陽が隠れ雨が呼び込まれようとしている
ホームレスには至難の季節だ
学生達は試験の準備に励み始める
一時は挫折しようとも ブルースのように永遠に
志を手放してはならないと声を発するのは誰かしら
大天使ミカエルかしら 風を斬る翼の音がする


就寝と起床が同居する碧の夜
ヒトとしてここを歩いてみる
骨だけになった蝙蝠傘をもって
やんだはずの音を道端でひろって
スニーカーのソールに一条の草
文字にして と複数形の声のあと

本作品は、各連毎に、長尾、石田、渡辺、二宮の順で綴られた六行詩により構成されている。

crossing lines renshi group Ⅲ

crossing lines renshi group Ⅲ

 

長尾早苗
1993年生まれ。著書に『聖者の行進』『フレア』(いずれも七月堂)他私家版多数。文芸創作ほしのたね、詩誌「ハルハトラム」、「La Vague」に参加。
 Website https://nagao-sanae-1.jimdosite.com/


石田瑞穂
https://crossinglines.xyz/writer/tokyo/mizuhoishida/


渡辺めぐみ
2001年に1篇の詩で「詩と思想」新人賞受賞。詩集に『光の果て』(萩原朔太郎生誕120年記念・前橋文学館賞受賞)、『内在地』(日本詩人クラブ新人賞受賞)、『ルオーのキリストの涙まで』(日本詩歌句大賞受賞)、『昼の岸』(日本詩人クラブ賞、高見順賞、現代詩人賞、小熊秀雄賞各最終候補)(全て思潮社)など5冊。現在日本現代詩人会詩集賞担当理事&入会審査委員。「詩と思想」書評委員。


二宮豊
https://crossinglines.xyz/writer/tokyo/yutakaninomiya/

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