<Serialization>

Renshi "Blue in Green"

Poem, TOKYO

Jun 20, 2024

Blue in Green 2

by crossing lines renshi group Ⅲ

 

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Blue in Green 2

crossing lines 連詩 Ⅲ

  二巡目


飛行機の行く先はまっすぐに
街路樹のふもとのベンチを照らしている
天照大神もこんなことは予想していなかった
誰もに愛されるためにかわして次々とうそをつく
うそとひみつと嫌いを忠実に守ることが
大人にとってだいじなステップ


しめった空をあおいでいたら
砂漠の花が愛おしくなった
神が木蔭のように僅かな世界に
転生しちゃお フェネック天とか
おっきな耳がシロッコにのって
ダンスする 破砕を聴く音の翼よ


詐欺師も盗人も混じっていそうな市の賑わい
効果音もなく独り踊る舞踏家をじっと見つめる男
<聴こえない音が聴こえるんだね ありがとう>
釈迦に似た顔をした男の心音が静かにわたしに響く
今生にようこそ! 青葉の季節にようこそ!
わたしは男のそばでカクタスの鉢を買った


「世界」と題されたゴブラン織のタペストリー
一角獣が水を舐めようと膝をつくが
ながすぎる角に嘶きが漏れる
めくった壁には抜け穴が
蛙は二胡で偽音を奏でる
脚色はお気に召したかな?

本作品は、各連毎に、長尾、石田、渡辺、二宮の順で綴られた六行詩により構成されている。

crossing lines renshi group Ⅲ

crossing lines renshi group Ⅲ

 

長尾早苗
1993年生まれ。著書に『聖者の行進』『フレア』(いずれも七月堂)他私家版多数。文芸創作ほしのたね、詩誌「ハルハトラム」、「La Vague」に参加。
 Website https://nagao-sanae-1.jimdosite.com/


石田瑞穂
https://crossinglines.xyz/writer/tokyo/mizuhoishida/


渡辺めぐみ
2001年に1篇の詩で「詩と思想」新人賞受賞。詩集に『光の果て』(萩原朔太郎生誕120年記念・前橋文学館賞受賞)、『内在地』(日本詩人クラブ新人賞受賞)、『ルオーのキリストの涙まで』(日本詩歌句大賞受賞)、『昼の岸』(日本詩人クラブ賞、高見順賞、現代詩人賞、小熊秀雄賞各最終候補)(全て思潮社)など5冊。現在日本現代詩人会詩集賞担当理事&入会審査委員。「詩と思想」書評委員。


二宮豊
https://crossinglines.xyz/writer/tokyo/yutakaninomiya/

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